パテ・オン・クルット (Pâté en croûte)

パテ・オン・クルット(Pâté en croûte)というのは、(普通はお肉の)パテをパイ生地で包んで焼いたもの。シャルキュトリーという豚肉などの加工品を売っているお惣菜屋さんに行けば必ず置いてある。昔はきっとどこのお店でも手作りしていたに違いないものだけれど、今は既製品を買うところが多い。ただ一本ボンと棚に並べてあって、それを切り売りしているから、てっきりそこで作っているものだと思ってしまうけれど、残念ながらそうは問屋が卸さないというのが今のフランスということらしい。

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私の行く八百屋内に入っているお惣菜屋さんで買えるパテ・オン・クルットが、500km離れたブルターニュの小さな町のお惣菜屋さんで買うものと見かけも味も同じ感じ。多分同じものを両方のお店が買っているのだろうと思う。

右のものは、ブルターニュのお肉屋さんで買ったもので、いつものとはちょっと違うけれど、これもお肉屋さんが独自に作っているものではないと思われる。

数年前に、このパテ・オン・クルット大会っていうものがあるのを知った。そして、この大会には日本人も参加していて、たいてい上位に食い込んでいる。手作りふうに見せながら、実は大量生産のパテ・オン・クルットではなくて、本当にちゃんと作られたのを食べたいな、と思っていたところ、MOF(国家最優秀職人の称号)のシャルキュトリー屋があって、パテ・オン・クルットが有名だという情報を得て、春にパリに行った時にわざわざ探して買いに行ってみた。私の行った店は、レストランがメインで、入り口脇に看板商品を置いて売っているところだった。見かけからして全く違う。高さがほとんどなく長方形のタルト状。それを短い辺に沿って切売りしている。エッフェル塔がこんな風に見えるあたりにお店はありました。

白いのはエビ。確か、生姜とコリアンダーとレモンコンフィだったかなぁ。忘れてしまった。お肉の方は豚のパテにフォアグラ、クランベリー、ピスタチオが混じっていて、ちょっぴり甘みのある味。パイ生地は薄く邪魔にならず、きっちり焼けているのが心地よい(上の写真を見てもわかるように、普通のはパイ生地が分厚くて、半焼け部分があり、そこがもったりしている。そういうもので重さを稼いでいるのかもしれない。)丁寧に作られているのは一目瞭然。中身もぎっしり詰まり、意外な味が混ざっていてもバランスよく、濃厚な味で満足しました。値段は高くても、近くにあれば頻繁に買いに行きたいと思うようなものです。

フランス革命記念日の練習と猛暑

この週末から、しきりに天気予報やニュースで、今週から猛暑が来るので気をつけて!と呼びかけている。はじめは35度くらいに上がるといっていたのが、37度になり、今は40度にまで上がると言っている。今日のところはこの辺の最高気温は30度ほどだったようで、それほどびっくりすることもなかった。ただ、今日はパリに行く用事があり、ベルサイユから往復したのだけれど、郊外電車、行きも帰りもクーラーなし。窓は片側しか開かないようになっていて、風が通らない、日よけもないので、日がどんどん当たって温度が上がる。いくら乾燥しているとはいえ、相当暑かった。これまでフランスの北部で気温がこんなに上がることはなかったので、電車にクーラーがなくても支障はなかったのだろうけど、こうも気温が上がりはじめると、これまでの習慣を変えていかないといけないのではなかろうかと思う。ただ、そういうのがささっと出来る国じゃないのが心配なところ。

あと2週間ちょっとでフランス革命記念日とあって、会社や家で飛行機の轟音が聞こえることがある。この土曜日もご飯を食べようとしていた8時ごろ、戦争でも始まるのかというほどの轟音がひっきりなしに聞こえて外を見ると、飛行機がビュンビュン飛んで、何度もグルグル回っていた。結構低い位置を飛んでいて、飛行機の色(フランス国旗の色が付いている)までしっかり確認できた。この小さい写真ではわからないけれど、フォーメーションがしっかりしていて、ある位置から見ると横にいる飛行機が見えないほど飛ぶ高さが揃っている。さすが。まあエリート中のエリートだろうから、私が「上手」とか言うのはお門違いというもの。そして、初めて見た、色出しの練習。

週末はラングスティーヌ(スキャンピ)

いつもの八百屋スーパーに久しぶりに行くと、果物の品揃えが変化していて、季節がまた変わったことを実感した。この間まで主役だったイチゴの場所が少なくなり、さくらんぼとアプリコットが幅をきかせていた。それにメロンや桃類。さくらんぼは、濃い赤のものが主流だけれど、こっちの色の薄い日本のさくらんぼみたいな方、平べったい桃、アプリコットそして目についたビワを2つほど(アプリコットより大きいくらい)買った。

魚屋の前を通ると、ラングスティーヌが1キロ19ユーロで、普通より安いし、茹でていない、生のものだったので1キロ買った。ラングスティーヌというのは、スキャンピと言った方がわかりやすいかもしれない。正式名は、ヨーロッパアカザエビというらしい。このラングスティーヌ、すでに茹でて店頭に並んでいることが多くて、そういうのはどうも買う気がしない。それでずっと敬遠してきたのだけれど、数年前にブルターニュ地方でもフランスの最西端にあたる町に行ったところ、ラングスティーヌが水揚げされる港が近くで、あがったばかりのラングスティーヌを大量に買って茹でて食べてからすっかり気に入った。旬のはじまる4月だったからか、小さめだったけれど、1キロが11−14ユーロほどだった。その日水揚げされたものが、船の到着時間に合わせて売られていたので新鮮さは言うことなしだった。ほとんどがまだ生きていて、ザワザワ動いていた。その時から魚屋でラングスティーヌを見かけると、その値段をチェックするのだけど、この辺では安くても25−30ユーロはしている。季節によっては(クリスマス前とか)、大きいものだと50ユーロ近いものも見たことがある。

今回のはもちろん動いているものはいなかった。ボウルに入っているのが生で、ザルとお皿に乗っているのは茹でたもの。色がほとんど変わらないので、生なのか茹だっているのか見分けがつきにくい。フランス風に、ライ麦パンに塩バターを塗ったものが付け合わせ(野菜なし)。それにイタリアで買ったプーリアの白ワイン、美味しくないはずがない。

 

そろそろムール貝の季節

今回のブルターニュの週末、家族みんなでの食事は、料理したり片付けたりという手間を省くためにレストランに行った。それはいつも貝掘りをする海岸にポツンとある、まあビストロというくくりの簡単なものを出すお店。羊のスネ肉、豚の頬肉を煮たものだったり、海老をパスティスでフランベしたものとか、それにムール貝あるいはガレット(食事クレープ)という品揃え。最近は別のお気に入りのお店が近くに何件かあるので、ここに来たのは2年ぶりでした。最近オーナーが変わったらしく、クレープはやめたようでしたが、それ以外はほぼ同じメニュー。私はここに来るとどうしてもムール貝を選んでしまう。というのも、ムール貝を食べる機会があまりないし、ここでならまずまずのムール貝が出てくるというのがわかっているからです。

店内の様子。大人数だと必ず真ん中の丸テーブルになってしまい、窓際ではないのがちょっと残念だけれど、まあいつも見ている風景なのでいいのです。この日の午前中は、ここで貝掘りをしたばかり。海岸のすぐ前なのに、干潮のため海の水は全く見えない。30席ほどの小さい店で、見晴らしが素晴らしいのと、他になにもないので人気があって、予約をしないと入れない確率が大です。

ムール貝の蒸し物は、シンプルなワイン蒸しから、クリーム入りやチーズ味とバリエーションがあるけれど、スペイン風というのがこの日のおすすめで、それにしました。上蓋が殻入れになるムール貝専用の鍋に入ってきます。たぶんサフランで風味をつけて(風味はあまり感じないけど色がサフラン)、チョリソ(スペイン版の腸詰ソーセージ、この日のはちょっとピリッとしていました。)を混ぜたもので、それでスペイン風らしい。チョリソの豚脂が汁にしみ出て、少しこってりした味になっていた。付け合わせは定番のポテトフライ。私の食べ方は、貝を2個分ほど出してスプーンに乗せ、チョリソひと切れも乗せ、鍋の下のソースをそのスプーンですくい、フライドポテトを一口食べて、スプーンを口に入れる、というもの。

ムール貝の鍋の中にはあふれんばかりの貝があるイメージだったのに、鍋の3分の2くらいしか入っていなくて、量が少ないと文句を言っていたのですが、まあお腹はいい具合になりました。この辺で食べるムール貝はそんなに大きくなく、季節はずれだと身も小さくて、食べた気がしないこともありますが、今回のは殻は小さくても身は貝いっぱいで、食べ応えがあり、堪能しました。ムール貝の季節はよくわからないのだけれど、だいたい夏の終わりらしい。確かに魚屋にはまだ大量のムール貝が並んでいないので、ちょっとまだ早かったかもしれません。

夏休みになったら、ムール貝を大量に買って来て蒸して食べるぞ、と予定しています。でもこれも案外そうじが大変。貝から出ているヒモを一つづつ取るので手間がかかるのです。

3日続けて貝掘り

これまで(と言っても2−3回しか行ってない超初心者です)、干潮のピークの時間に海について、満ちて来るのと同時に貝掘りをはじめていたのですが、ちょっと戦略を変更。干潮の2時間前くらいに海に着いて、まだまだ引いている途中の海と共に進んでいきながら掘るということにしてみた。海はまだそう遠くなく、少し歩くと水のあるところまでたどり着く。日本では想像がつかないくらいの遠浅。水の高さは水たまりほどで、バシャバシャしながら歩きます。

たまに掘ったりもしながら進んで行くうちに、どんどん水も引いていきます。水のある向こう側のちょっと盛り上がったところまでたどり着こうとしているわたし。ちょっと深い(私の膝くらいの高さ)ところを歩いています。

それはこんなところ。

その向こうに着いて、掘りはじめてふと思い立って三種の神器を撮ってみた。ギーちゃんは後方でいい場所を見つけたらしい。こんな広いところで貝を掘っているのは私たちふたり。

2日目も3日目も同じくらいの収穫(たぶん2kgくらい)。かなり大きめのコック貝がとれた。(というか、小さいのはとらないようにした)それにしても、掘るだけじゃなくて、その後の、塩水を作って浸し、洗って、という砂出しの繰り返し作業が結構な仕事量で、相当面倒くさい作業です。それでも食べたいからやるけれど。。。

この貝、アサリより味が薄い。貝が開くと、ほとんどの貝の身がとれてしまい、貝にくっついているのはほんの一握り。どうも貝柱がないみたい。身も不思議なかたちをしています。何と形容していいのかわからない。とにかく、食べるのはあっという間です。

昨日ブルターニュから戻り、今日からまた仕事再開。本日の夜ご飯は持って帰ってきたコック貝でした。鍋に入れて、何も入れずに蒸すだけ。海の恵みを堪能しました。

早い夏休み?

数日前、日本から出張に来ていた元同僚(フランス人)に社食で出会い、ちょっと立ち話をした。私が、この週末はブルターニュに行くんだと言うと、週末で行くにはちょっと遠いよねー、と言う。いやいや金曜日と月・火曜日も休むからね、と答えると、あーなんだ、それを週末っていうのはすっかりフランス人化している、日本なら早い夏休みだよ、と笑っていた。確かに。でも、週末って聞いて土日の週末しか思い浮かべないこのフランス人は逆に日本人化しているんじゃない?と思ったのでした。

と言うわけで、ちょっと長い週末(あるいは早い夏休み)でブルターニュに来ています。このあいだの南イタリアから天気の変化ははあまりない(しかし現在のプーリア地方は毎日30度くらいの晴天続き)。6月に入ったパリ地方、まるで梅雨か?というほど雨が降るし寒い毎日。そしてブルターニュだから無理もないけれど、さらに寒くて雨も降ったり止んだり。今のところ、冬のフリースに暖房は放せない状態。

今回もまた貝掘り1日目。午後から天気になる予報がまるはずれで、小雨から青空が出たと思ったら強い雨にも打たれビショぬれになりながらの貝掘りになりました。

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他に誰もいない海。水の中は意外にも温かく、ぬるま湯に浸かっている感じで気持ちが良かった。2時間ほど掘って、収穫はこれだけ。満ちはじめの遠い海の色はブルーかかった乳白色。とってもきれいです。

そして、さて寝る時間(ギーちゃんはすでに夢の中。)、灰色のあつい雲の間をちょうど太陽が通り過ぎる時で、写真を撮った。夜の10時半頃のことです。

 

 

 

 

ノートルダム寺院修復

パリ、ノートルダム寺院の火災にはみんな本当にびっくりした。あんな建物が火事になってしまうとは。そして、燃えさかるノートルダムを見ているだけで、何もできないもどかしさ。未だに、何が原因なのかはわかっていない様子。先日、美術史の講義の中で、講師のナデージュさんが、美術史専門家としてコメントしてくれたので、それを書いておこうと思う。

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ゴシック建築の代表となる寺院。ヴォールトと呼ばれる天井様式が特徴的。梁にはたくさんの木が使われていて、その部分は「森」と呼ばれている。ゴシック建築ではすべてが繋がっているという点が特徴的。それなのに、その天井が燃えさかり、高熱をあび、水をかぶったことで、残った天井、梁部分も相当壊れやすくなっているはず。壁石についても同様に脆くなっている。

レリックと呼ばれる聖遺物(キリストや聖人に関する遺品)は消防の人がなんとか取り出し、今はルーブル美術館に保管中。伝統のMaysシリーズの大絵画の損傷は激しい。国の保有する建築物は値段がつけられないので、保険がかかっていない。

すでに、修復の公募が始まっているようだけれど、どういう風に修復するかを決める前に、これ以上の被害を食い止めるために、とにかく補強することが必要。そして、200年近くかかって建築されたものを、数年で修復するのは無理な話ではないか。今の時代に、当時と同様の技術があるかどうかはわからないけれど、あったとしても相当な時間がかかるはず。政治にまどわされずに(政治の道具にされることなく)、じっくり時間をかけて後世に残せるだけのちゃんとした修復してほしい。

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つい先日テレビのニュースで、崩れ落ちた石が、元あった場所ごとに整理されて並べられているのを見た。(気の遠くなるような作業)そして、その石の成分を検査して、どこの土地で切り出されたものかを突き止め、そのあたりの石、あるいは似たような成分の石を採掘する作業が必要、と言っていた。石は当然のことながら、とても固いものが使われているから、切り出しにも時間がかかるらしい。そして、膨大な資材が必要になるけれど、現存の採掘場にあるものだけで間に合うのか?ということも言っていた。

なんでものんびりのフランスモードにはイラつくことも多々あるけれど、こういうことは、時間を気にせずにきっちりと仕事をしてほしいと思う。たとえ修復がパリオリンピック開催に間に合わなかったとしても、パリにはその他いくらでも見所はあるし、そんな一時の観光客に媚を売るっていうのは、全然フランスらしくないと思う。まあオリンピックだから、普通のことではないと意気込んでいるのだろう。それはわかるけれど、それなら、早急に改善できる点はいくらでもあるのだから(ありすぎというほど)、そっちに着手するべきだと思うなぁ。