もう読書の秋というより、冬になっています。本日パリ地方、朝も昼も夜も気温3度という予報です。
コロナが出てきた当初、海外からの小包なども滞っている、あるいは普通には届かない、というようなウワサがあり、ということは、本を気軽に日本から取り寄せることも当分むずかしくなるのか?と思い、本を読むのを控えていました。習慣とは恐ろしいもので、そのうち本を読まないのが普通になり、コロナ渦中の2年間、本を読んでいませんでした。
それで、日本に帰国した際には本を仕入れてくるのに、今回は何を買っていいかもわからず、自分では買わずじまい。何でもいいから要らない本があったらちょうだい、と私が言うのを覚えてくれていた友人が何冊か持たせてくれたのと、実家にあったもの数冊を持って帰っただけでした。
でもそれらがとても面白くて、またまた読書をする日々がやってきました。
ある夏の日に、近所の大型本屋で「東洋文学」コーナーを見ていると、中国の歴史物語を連想させる絵が表紙になった本が並んでいる。中国のものかと思えば、Jiro Asadaとなっている。浅田次郎さんの翻訳ものを目にしたのははじめて。小さな東洋文学コーナーには、中国、日本、韓国、そしてインドなんかのものまでが詰め込まれている。日本文学の半分ほどは村上春樹が占め、残りは川端、三島や漱石などの純文学に最近のものなど。浅田次郎さんは最近好きな作家なので、読むものがないーと言っていたギーちゃんにこれを買わせることにした。
読みはじめは、登場人物が多すぎる、中国名が覚えられない、誰が誰だかわからない、関係もわからない!と言っていたけれど、しばらくするとものがたりに引き込まれたようで、本に没頭している。私にも同じ本のオリジナル日本語版を買って一緒に読もうというので、買いましたよ。中国の歴史もの〜?とあまり乗り気ではなかったのですが、本が届いて読みはじめたらもう止まらなくなってしまいました。
たしかに登場人物が多い、皇室の家族構成(?)がややこしい、それぞれの名前もややこしい、名前のみならず他のことでも読めない漢字(ルビが中国語読みでふってある)がたくさん出て来るので、読みにくい部分もあるものの、それは物語の壮大さにかき消されてしまいます。そのうち、こんなにも中国の歴史を知らない自分にあきれるとともに、それでもそんなことがあったのだということを今少しでも知ったのはよかったのだ、と思うのでした。よその国の歴史とはいえ、近所の中国、おのずと日本との関わりも多いです。
「蒼穹の昴」 1−4巻 浅田次郎
フランス語訳は、この4巻分が一冊になったこれ。Le Roman de La Cite Interdite『紫禁城の物語』とでも訳しましょうか?もともとは前半と後半の二冊で出版されているものを一冊にまとめたバージョン。


そして、私は次のシリーズへ。残念ながら、ここからはフランス語訳版はまだ出ていません。いつか出版されるのを楽しみにしていますが、これを訳すのは大変だろうなぁと思います。
「中間の虹」1−4巻(アマゾンの小包に4巻が二冊入ってました)
「マンチュリアンリポート」1巻のみ
この辺りから、中国に上陸した日本人の描写も多くなってきます。祖父が勤めていた満鉄のことも出てくるので、遠いむかしの知らない土地のものがたりに、細いながらもつながりを感じ、身近にせまってきます。

先週末に、時代的には「蒼穹の昴」と「中間の虹」の間に読むべき「珍妃の井戸」を読み終え、あのラストエンペラーの時代に突入する「天子蒙塵」を読みはじめたところです。
つまり、ブログが滞っているのは、このせいなんです。