クリック&コレクトっていうのは、ネット上で商品を注文して、予約した日時に引き取りに行くというシステム。はじめの外出禁止時にはまだそれほど取り入れられていなかったこのシステムも、昨年秋の2回目の外出禁止で一時商店が閉鎖していた時くらいから、街の本屋さんやおもちゃ屋さんなんかもこのシステムを取り入れはじめています。なぜなら、クリック&コレクトでなら商品を売っていいことになっていたので。日本のように宅配システムが発達していれば、こんなことしなくても宅配中心になるのだろうけれど、この国はそうではないんですね。今は、飲食店以外の普通のお店は開いているから、このシステムが多く使われているかは不明だけれど、店内をウロウロしたくない人にはいいシステム。レストランの方はまだ再開してないし、見込みもないので、このシステムにのっているところは増えているようです。確か、政府もこれを推奨していて、援助もしているのではなかったか?と思う。
2月の初めになって、ベルサイユのレストランのLe Pincemin(ル パンスマン シェフの苗字)でもクリック&コレクトをやっていることを発見し、注文してみることにした。ちょうど一年前、コロナで外出禁止になる直前に行ったところ。実は、春の外出禁止中に持ち帰りメニューをやっていると知って、何度も電話するも電話に出たためしがない。携帯メールを送ってもなしのつぶて。なんだそれ!と愛想をつかしていたのですが、クリック&コレクト用のページでなら、返事がないっていう問題もなく、数量を入力して、引き取る時間を指定するだけ。晴れて、確認メールがやってきて、久しぶりに他人の作った料理を食べることになりました。
フランスは、日本のような目覚ましいお弁当文化も、店屋物の配達なんかもほぼ存在しない国。そんな中で、レストランが開けられないという非常事態、レストラン側も何をどうやったらいいのか、試行錯誤の日々だったのだと思います。最初はいろんなことを手作業でやっていて、色々と追いつかないことだらけだったのかな。そもそも要領がいいとはお世辞にも言えない方々だから。はじめの外出禁止期間に注文したことがないので、その頃の料理がどんなだったのかはわからないけれど、今回注文して、なかなかうまく回しているな、と思いました。
メニューは一種類のみ。一人前40ユーロと、決してお安くはないんですが、その分、料理だけでなく、料理まわりにも気を配っているのがいいところ。デザート以外は、サトウキビを原料に作られた容器が使われ、これは蓋を取ってそのままオーブンに入れられる。これはとても画期的。この時はデザートがガラス容器のものと、サトウキビ容器のクレープのセット。たぶんクレープをそのまま温められるようにってことだったのだと思います。蓋にはレストランのロゴのシールが貼られ、統一感が出ている。トウモロコシの粉の丸いパンが一人ひとつつき、この時は前菜のスモークサーモンに添えるためのカリカリパンチェッタが、写真では脂がしみているものが付いていました。
メニューはしっかりした紙にきちんと印刷してある(メニューは一種類のみ、一週間ごとに変わる)。裏側には、どういうタイミングでどうやって食べるかの詳細が書かれていて、例えば、「帰ったら、とりあえず全部冷蔵庫に入れて下さい。メインのお皿は、食べる1時間前に冷蔵庫から出しておきましょう。オーブンを150度に余熱し、8分温めてください。」などなど。
前菜はスモークサーモン、ブロッコリーのピュレと合わせてある。メインは、サヴォア地方のクロゼという、ちびちびの正方形パスタのきのこクリームあえの上にチキンの蒸し焼きがのり、その上にこれもサヴォア地方のチーズ、ルブロッションがどんとのっかっていた。これをそのままオーブンに入れて温めて食べるだけ。もちろん、この容器のままっていうのが、少々味気ないけれど、一旦別皿に出して温め、それをまたお皿に盛り付ける、などして、移動が多いとぐちゃぐちゃになる可能性があるし、何よりめんどくさい、洗い物が増える。(いや、このメインならば、お皿に出しても、それほどぐちゃぐちゃにならず、よかったかもしれない、と後で思ったけど。)なので、これはこれで悪くない。味は、前菜、メインともとても美味しく、大満足でした。
この左のが、クロゼという正方形パスタをズームしたもの。右はデザート、クレープシュゼット風、うーん、悪くもないが、あー美味しかったというほどでもない。
全体的に、満足だったので、これはまた次回も、ということになって、2月の末に2回目の注文をしました。その時のメニューはまた次の回に載せます。