今年もブルターニュの夏休み 近場でサイクリングツアー パート1最終日のディナー

毎日自転車で40kmほどの距離を走りながら別の街に移動する、というサイクリング小旅行、それはそれで楽しいけれど、めんどくさいとも言える。それをおして3日間も自転車で移動できたのは、最終日は美味しいものを食べるというご褒美が待っていたからこそ。そもそもこのサイクリングツアー、このホテルを中心に計画したものでした。

ホテル内のレストランはミシュラン一つ星。この日はこのあたりにしては暑かったのもあってか、Tシャツに半パンなどの人もいて、全く気取っていない雰囲気。給仕の人たちもみんなブルターニュ名物のボーダーシャツ(カットソー?)着用。そういえば、ホテルの受付の人たちもみんなボーダーを着ていました。

ただの一つ星なので、すぐにテーブルに通されて、そこでメニューを決めます。3種類ほどコースがあって、せっかくだからとオマール海老のお皿のある一番いいコースを選択。ワインはペアリングにしてもらうことにする。みんなが一斉にやって来た感じで、全員に手が回らず、なんだかわさわさした感じ。しばらく待って、サービスのお兄さん(サービスの人はみんな若者)が木箱を持ってやって来た。そこには数種類のバターが入っていて、違いを説明してくれたあとで、お好きなのをどうぞというので、全種類いただきました。ホテル付属のパン屋のパンとともに色んなバターを味わいながら待ちます。バターはさすがにどれもこれも美味しくて、最初っからパンを食べすぎると後に差し支えるんだけどなぁ、と思いつつも、食べずにはおられませんでした。

下から、塩バター、アーモンドミルクで作ったバター(もどき)、海藻入りバター(割と流行りで、どこでもやってる感あり)、サリコーン入りバター(ブルターニュなど満干の差が激しい浜に生える草)、ブールノワゼット、焦がしバターを混ぜ込んだバター。

その後、ちまちましたおつまみの代わりに、こんなものが来た。そば粉のガレット(クレープ)の定番、ハムチーズ卵入りをRevisite, リビジテ、変形させたもの。そのまま食べるもよし、器の中で崩してスプーンで食べてもよし、お好きにどうぞとのこと。崩れそうなのを細心の注意を払いながら持ち上げて、パリパリさくっと一瞬で食べました。卵は感じなかったけれど、そば粉の生地にハムにチーズ、それぞれの味がしっかり再現されている。おいし〜い。もうひとつお願いしたいくらい。これでニコニコになって、最初のバタバタで大丈夫?と感じていたのは帳消しになりました。

その後、ブルターニュ産の鱒にオマール海老、ルージェ(ひめじ)。このマスはちょっぴり日本の塩じゃけっぽい。皮っぽいのは、本物の皮ではなく、海藻(訂正ー>海藻ではなくズッキーニを使ってあったもよう)を皮風にしてあった。
オマール海老は、もう火入れが完璧で、火は通っているけれど、通った瞬間で火入れを完全に止めた、というギリギリのところで、オマール海老の本来の味を堪能しました。さすがオマール海老の産地のシェフ。そして、ひめじ。これは小さい魚で、すぐに火が通るので、パサパサになりやすいのだけれど、これも完璧に調理してあった。やはりブルターニュ名物のアーティチョークと合わせてありました。

実はコースには、「本日のお肉料理」としか書いてなくて、なんのお肉かは明記してなかったし、最初の説明でも何なのか言ってくれなかったのですが、この日は実はハト。大嫌いで見るのも嫌なハト。まあ食べるとなると別なんですが、好き好んでは注文しない。まあしょうがない。最近、ハトを扱うシェフが多い。ハトという食材を扱うのには、ある程度の経験と技術が必要らしいので、それをアピールするためか?見かけはイマイチですが、これもまたオマール海老のように、火入れが完璧。生でもない、でも火がちゃんと入っている。ナイフを入れると、血はしたたたらずにさっと切れ、口当たりは柔らかいけれど歯ごたえもある。ジビエほど強烈ではないけれど、鶏肉のように淡白でもない、独特の味がある。ハトは過去に食べたことはあるけれど、印象に残っていない。もう少しソースがあるとさらに良かったけれど、美味しくいただきました。

ようやくデザート。フランボワーズとミント、いやミントのジュレにフランボワーズが添えてあると言った方がいいか。酸っぱくて、甘さは控えめすぎて、さっぱりはするけれど、最後の締めにはちょっと物足りないかな、と思っていたら、2つ目のデザートがやって来た。フランボワーズは口直し的なデザートだったらしい。

最後の締めは、このコースにふさわしいもの。ブルターニュと言えば、塩バターキャラメル。そのデザートクレープをまたしても再構築したもの。形はブルターニュ名物のクレープダンテルというお菓子を真似たもの。見栄えはしないけれど、これがまたもう美味しくて、もう一つ(いや二つ)お願いしたいくらいでした。というわけで、ブルターニュ名物をしっかり前に出して、最初と最後に定番料理を再構築して持ってくる、とってもよく考えらた、楽しいメニューで、大満足でした。

ちなみに、これがクレープダンテル。箱入りで、普通のスーパーで買えます。2個1組で銀紙(金色だけども)に包まれ、カフェなどでたまにコーヒのお供について来たり、アイスクリームにささっていたりします。これをバラバラに壊してチョコレートやプラリネと混ぜてお菓子の一部に使われたりもします。

右の写真は、ホテルに飾ってあった、1961年当時の夜のメニュー。ポタージュ、エビやカニなどの甲殻類をマヨネーズで、舌平目オランデーズソース、羊のもも肉ロースト(海辺で放牧され自然に塩味のするひつじ)インゲン豆煮、デザート、カフェ。時代を感じるラインナップ、今やこんなメニューを出すところは皆無だろう。

去年の二つ星よりもずっと満足した食事だったのですが、減点部分がないわけではなくて、それはワインでした。妙に自信たっぷりの若いソムリエ。ペアリングについて聞いた時、ものすごい種類のワインがあるので、皆さんの好みに合わせますよ、とのことだったので、それなら、コート・デュ・ローヌは避けてね、と言ったにもかかわらず、コート・デュ・ローヌの代表的白ワイン、コンドリューがやって来た。確かに有名なワインで、美味しいのを飲んだこともあるけれど、違うのがよかったわけです。それでも、これは本当に美味しいから、ちょっと飲んでみる?それで嫌だったら別なのに変えますよ、とでも言ってくれれば、味見をしただろうし、気に入ればそのまま受け入れたのだろうけれど、そういう申し出もなかったので、変えてもらったら、村名も地方の名前さえもないワイン(つまり表記はフランスワイン)がやって来た。釣り合い的にどうなの?と、なんとなく損した気分。たぶん私たちのためだけに一本いいワインを開けたくなかったんだろうけれど、その辺、ちょっとサービス精神に欠けているというか「ケチ」って思いました。

今年もブルターニュの夏休み 近場でサイクリングツアー パート1の3日目

今回泊まった部屋のドアを開けるとすぐダイニングで、宿泊客はそこで朝食をとることになっている。すぐドアの向こうにも関わらず、全く気配が聞こえなかったけれど、すでに2組の宿泊客が朝食中。やはり普通の家とは違うつくりにしてあるらしい。どれもこだわりの材料で用意されているのがわかる朝食内容。パンケーキなんかも焼いてくれて、なかなか良かった。そして、荷物をパンパンに詰めてまた自転車に乗ります。

この街、ロスコフを出てさらに西に進んでいくうちに、だんだんいつもの見慣れた景色とは少し違った感じになってきます。大きめの砂浜がある海岸。お天気も上々で、この日はほぼ海岸線を走りました。

この日は、車を置かせてもらったホテルに泊まって、そこのレストランで夕食の予定だったので、お昼は軽いものにしたかったのだけど、気軽でよさげなところは全く見つからず。パン屋さえも見当たらない。結局、海辺のベンチで持参していたアーモンドローストを食べ、どうでもいいようなピザ&クレープ屋で、何も食べずにビールを飲んだだけでした。

誰かが何かを掘っていると、何がとれるんだろうと興味津々。でも、見に行ったところで、貝掘りをするわけにもいかないので、見過ごすことにする。

夕方になるにつれ、さらにいい天気になり、ホテルに着くと、前々日の出発前に見た景色とは似てもにつかず。宿泊前に車を置かせてもらう件でやりとりがあったからか、お部屋をアップグレードしてもらいました。部屋のベランダから見えた景色。

ホテルのプールに行ってすぐに戻ってきて(プールは小さすぎてゆっくりする感じではなかった)、シャツにアイロンかけしたり(アイロンは安物だった)、ぼんやりしているうちにレストランの予約の時間の7時45分。ささっと降りて、楽しみにしていたディナータイムとなりました。つづきは次回。

今年もブルターニュの夏休み 近場でサイクリングツアー パート1の2日目

2日目もあまり期待できそうにない天気予報。せめてザーザー雨でなければいいか、と曇り空の中出発しました。が、たまに青空も見える。たまに太陽も出ている。とりあえず雨はまだ降っていない。暑くもないし、寒くもない。出発して間もなく、海も見えて来た。なかなかいい感じ、でスタートした2日目。この辺りは、ブルターニュの家族が住むコートダルモール県との県境で、海岸線はなんだか似たような感じ。

雨も降っていないし、目的地に急いで行かなくちゃならないわけでもないので、こうした海岸があると、ふらりと立ち寄り、写真を撮ったり、魚釣りに行くおじさん、獲物を抱えて帰ってくる人なんかをぼんやり見る。

8月の中旬をすぎ、ピークは終わっていたけれど、それでも一応まだ夏休み中、子供達のアクティビティなどで少し賑わっていました。バイトにちがいない若い大学生くらいの女の子がちびっこを連れて、水たまりの中にいる生き物を探し中。また、海では小さいウィンドサーフィンがぞろぞろ。

この日、お昼は海辺でムール貝が食べたいと思い、この日の道程を半分くらい行ったところで2件ほどレストランをチェックしていたのですが、お昼少し前に電話しても出ない。まあいいかと現地に到着して見ると、どちらのレストランもお休み。え?いくら平日っていっても、この夏休みの稼ぎどきに休みとは。もうずいぶん前からムール貝が食べたいと言っているんだけれど、どうもありつけないらしい。

気を取り直して、この辺ではまあまあ大きいSaint Paul de Leon(サンポールドレオン)という町に引き返すと、マルシェの日で、それがちょうど終わった時間で中心部はごった返し。なんとかそのぐちゃぐちゃの中をすり抜けて、小さな路地にクレープ屋を発見。すでに1時はすぎていたので、もうあれこれ言ってはいられない。ちょうど外の席が空いたところだったので、すかさず食事ができるかと聞くと、大丈夫とのこと。やったー!というわけで、とりあえずビールを注文、食事のクレープとデザートクレープでお昼にありつけたのでした。

左は私が食べたクレープ。イカスミパスタにイカ、ではありません。この濃い緑のものは、海のインゲン豆というような名前のついた海藻です。でも、海藻っぽい味はそれほどせず、まるでパスタのような食感なので、パスタだと言われれば、そのつもりで食べたかもしれません。これってダイエットにとってもいいのではないかと思いました。右の写真は、その路地の道端でご飯を食べて、さあ目的地に向かって再度出発、というところです。

そして、またずっと海辺を通って、たまにちょっと怖い車道も通りつつ、2日目の目的地、Roscoff(ロスコフ)に着きました。海辺の観光地だけあって、観光客多数。

海辺沿のホテルしようかと思いつつ、これといったところがなく、少し町の中に入ったあたり(と言っても海辺、町の中心から徒歩10分ほど)今年5月にオープンしたばかりのB&B(フランス風にいうと、シャンブルドット、日本風に言うと民宿)を宿泊先に選びました。もともとこの町の町長さんが住んでいたらしいお屋敷を買い取って改装したらしいです。オーナーさん、たぶん30歳そこそこくらいの若いご夫婦でちょっとびっくり。もちろん新しいからきれいだし、使ってある素材なんかも厳選されていてステキではあるのですが、部屋自体が狭くて、それだけが難点でした。ふつうB&Bというと、ホテルより断然部屋が広くてゆったりしているのですけどね。それでも庭付きの大きな一軒家、自転車も車庫に入れてくださって安心でした。

夜は、オーナーさんが予約しておいてくれたお魚中心のレストランへ。遅い時間の予約しかできなくて、それまでの時間が長かったこと。観光地なのでちょっとした商店街があったりはするものの、15分もあれば町の中心をぐるりとできるくらいなので、3周くらいしても1時間も経っていない感じ。どこかで食前酒でも飲んで、と思うも、観光客であふれているか、ちょっと外れたところは閉まっているところも多く、結局行き先が決まらないまま手持ち無沙汰で海沿いをぶらぶら、そしてベンチに座って待つ。この日は暖かくて、夕方から夜にかけて外にいても我慢できるくらいだったけれど、さすがに日が暮れてくると寒い。そのうち、ベンチに座っているのも限界になってきたので、ちょっと早い(予約の40分くらい前)けれどダメモトでレストランへ行ってみると、5分くらい室内で待ってテーブルを用意してもらえました。

食事は悪くはなかったんですが、サービスの若いお兄さんが運び屋にしかすぎず、本日のおすすめの付け合わせの野菜はなに?という質問に、満足に答えられない。本日のおすすめなんて、一番注文の多いお皿で、もう何皿も運んでいったに違いないのに、それ全然見てないのかね?わからないなら他のスタッフに聞いてみればいいのに、その気も全くなしで(まあみんなすごく忙しそうではあったけれど)、適当に答えてごまかそうとする、全然ダメダメでした。それでもギーちゃんが注文した本日のおすすめ。野菜がたっぷりで、これをどう表現するのかがわからなかったのかもしれない。

今年もブルターニュの夏休み 近場でサイクリングツアー パート1の1日目

今年は日本にも帰国したし、夏休みは安上がりモードにしようと、行き先はいつものようにブルターニュの家ということにした。でも、いつもいつもいつもブルターニュって、代わり映えしないので、この夏休みは、ちょっと違うことをしようと、近場で自転車の旅をすることになりました。

かつて、スイスで自転車旅行をして楽しかったので、またそういうのをやろうと言いつつ、そのまま10年ほどが過ぎておりました。スイスでは、専門の旅行会社を通してのツアーで(と言ってもすべて個人で移動)、道程は決まっていて、それに合わせたホテルの予約、旅行中、荷物を次のホテルまで運んでくれるなどのサービスがついたものでしたが、今回はすべて自分たちでやることにしました。

近場ということで、お隣のフィニステール県、ブルターニュの家族の家から、車で1時間ほど西へ行ったあたり。気になっていたひとつ星レストランのあるホテルを中心に3泊4日の旅を計画。毎日の目的地となる町と、そこでの宿泊先は私が決め、細かいサイクリングコースは、ギーちゃんが一生懸命調べて作り、自転車用のナビに入力していました。出発地点は、最終日に宿泊するホテル。宿泊の2日前から駐車場に車を置きっぱなしにさせてもらってもいいかとお願いしたところ、快諾してもらいました。

写真左 ホテルの駐車場で準備中。自転車の荷台には2泊分の荷物がぎゅうぎゅうに入っている。
写真右 高台にあるホテルから本来なら海が望めるはず、がこの日は靄で見えず。

ホテルが経営しているパン屋さんが近くにあり、そこでパンを調達して(これがとても美味しいパン)、11時すぎに出発。ただ、しばらく行ったところで、車に忘れ物をしたというので引き返し、再度出発した時には、12時を知らせる教会の鐘がなっていました。

これが自転車で走ったコース全体図。1日目は、最終目的地であり出発地のPlouiderという町からTauleというところまで。地図では直線になっているけど、もちろん直線ではなく、ぐるぐると小さな道を選んでは進んでいたと思います。

ちなみに、ピンクの星のあたりです。

夏とはいえ、天候の安定しないブルターニュ地方でこういうことをするのは、ちょっぴり賭けだったのですが、予想通り1日目は曇りと雨に見舞われ、ほとんど何も見えない、見る気もしない、見ても畑だらけの道程、お店もカフェも何にもないところばかりを通り、人もほとんど見かけない。お昼も小雨の中、木の陰で持参した残り物と朝買っておいたパンで簡単に済ませるという始末。寄り道する気にも、写真を撮る気にもならず、もくもくと目的地に向かって走ったので、3時くらいには1泊目のホテルのある村に着いてしまいました。そこで、唯一開いていたバー(雑誌やタバコや宝くじなんかを売っているなんでも屋のこと)のテラスで飲んだビールは美味しかった。小雨が降っていても、寒くはなく、風もなく、こうして外のテラスに座っていられるというのはブルターニュにしては上等でした。

フランスブルターニュの田舎の小さな町の典型で、このバーの隣には、町の大きさにそぐわないほどの大きな教会があり、この時は、ちょうどお葬式が行われていました。ビールを飲み終えて、そこからちょっと離れたところにあるその日の宿泊先のホテルに行くと、チェックインは5時だと言われ追い出されました。どうも、ホテルのレストランで午後のお茶的なものが準備されているようで、忙しかったようです。どこかの老人クラブかなんかの集まりでもあるのかと思いきや、同じバーに戻って時間をつぶして、5時になって再びホテルに戻ると、多くの人が集まってお茶中で、それを見てピンと来ました。あれは、例のお葬式の後の集まりだったのでした。所変わればで、テーブルに並んでいたのは、オレンジジュースにコーヒーカップ、クロワッサンにパンオショコラで、まるで子供の午後のおやつ。でもフランスで午後のお茶となれば、こんな風になるしかないんだろうな。私としては、お葬式のイメージとは結びつかないのでした。

そんなことを思いながら、部屋に入りシャワーを浴びてさっぱりした後は、雨でかなり湿っていた服などをドライヤーで乾かしまくりました。強力なドライヤーがあったのはラッキー。その日の夜はホテルのレストランで食べることにしていたので(その頃には、お葬式のお茶会はすっかり跡形もなく片付けられていました)、そのままどこにも出かけることなく、ご飯を食べておやすみなさい、でした。

アサリの次はマテ貝(2)

初めて採ったマテ貝ではありますが、試食は大絶賛にはほど遠い。

塩に触発された貝が砂から出て来て、手で捕まえた時に砂の中に戻ろうとするものすごい力を感じ、危険を察知したマテ貝がその身の一部を自ら切り離して貝の中に潜り込むところを目にし、蒸し終わって貝が開いた時のその姿を見たりすると、かなりグロテスクで、ちょっと食べる気が失せて来る。でも、前回はちゃんと全部を食べなかったので、本当の味を味わっていない。ただのワイン蒸しよりも、ちょっと調理した方がいい貝なのかもしれないと、再度マテ貝狩りに挑戦してみることにする。

通年住んでいるお隣さんが庭の手入れをしている時に挨拶がてら話し込んだギーちゃん、新たなマテ貝情報を得て来ました。うちから近くの、風光明媚な海岸Port Blancでたくさん採れると。この間も書いたのだけど、この海岸はふらりとよく行くところで、何度か貝掘りもやってみたけれど、何かがとれた試しがない。それでも地元の人が言うこと、それもこのお隣さん、船も持っていて、魚釣りが趣味で、釣った魚を近所の人たちに売っていたりするような人だから、なかなか期待できる情報に違いない。早速、試しに行ってみました。

この海岸は、普段アサリを掘りに行くところと違って、海岸沿いに遊歩道があるし、セーリング教室もやっている。へなちょこだけどホテルも一軒あり、バーレストラン併設。それだけに、人も多くて、ちょっと違う雰囲気。その辺にはすでに地中に向けて塩をふりかけている人が数人。確かに前回よりずっと高い確率でマテ貝が出て来る。いや、穴の見極め方がわかって来ただけかもしれないけど。私もコツがわかって、ちゃんと一人で捕まえることができるようになった。それで前回の6本に比べると、2倍以上の収穫になりました。この船が停泊している一帯の水がすっかり引くと、マテ貝狩り場になる。

今回は、庭のシソを巻いて天ぷらにしてみた。(十分な枚数がなかったのでちぎりながら。全てには行き渡らず)それなら姿形が見えないし、シソの味もするので食べやすいかな、と。でもアサリの方がずっといい、という感想で、一個食べたきりあとはパスだったので、私一人で10本以上を食べることになりました(この日は二人だったので)。全部をまるまる食べるとやっぱり磯の香りがしっかりして、それがシソと相まってとっても美味しかったけど、天ぷらにはあまり向かないかも。牡蠣の天ぷらと同じで、貝汁がたくさんあるからか、決してカラッと揚がらない(いい加減にやっているせいもある)。フライにすればよかったのかもしれないけど、それはそれでめんどくさい。

左は生の状態。真ん中の写真はワイン蒸しにしたところ。そして身を貝から外して衣をつけて揚げた。10本以上一人で食べたことになる。

もしも次回があれば(一人でも採りに行ってみよう)、フランス風にバター、ニンニク、パセリをクリーム状にしたものを塗ってオーブンで焼くっていうやり方にしてみようと思う。

アサリの次はマテ貝(1)

マテ貝、フランス語ではCouteaux (クトー、ナイフのこと)と言います。近年、ちょっといいビストロの前菜なんかで目にすることがある。お店ではどうしてもそれなりに料理してあるし、3本くらいしかお皿にないので、美味しかったという記憶はあっても、貝の味という以外どんな味だったかの記憶がない。ブルターニュのこの辺で普通にとれるらしいが、これまで全くお目にかかったことがなかったのです。

近くのあの海岸で採れるらしいと友人に聞いていたので、今回その心づもりで行ってみることにしました。マテ貝は、マテ貝の穴に塩を入れると貝がひとりで上がって来て、それを手で捕まえるというとり方なので、塩のみ必須アイテム。マテ貝がいない場合に備えて、アサリ用のスプーンも持参。アサリもそこでは採ったことがなく、いるかどうかわからないので、オマール海老をおびき出す突っつき棒も念のため持って行く。というのも、この海岸でオマール海老を見つけたことがあるのです。そんなこんなで、ちょっと持ち物が多め。

勇んで行ったので、早く着きすぎて、まだまだ水が引いていない

岩場を歩きながら時間をつぶしていたら、おじいちゃんと7ー8歳くらいの男の子が大きなバケツを持ってやって来た。小さめの岩をひっくり返しては何かを見つけ、それをバケツに入れるたびに、カランコロンと音がする。多分私たちの興味のないビゴルノーという巻貝で、タニシみたいなやつ。近づいて行ってビゴルノーをとってるんですか?と聞いたら、その通りでした。そしたら男の子が、ビゴルノーは岩の下とか海藻の裏側とかにいるんだよーと一生懸命説明してくれた。アサリもちょっとはいるけど、今のところ2つ見つけただけ、など、聞いてもないんだけど、きっとおじいちゃんに教わったことを他の人に教えてあげたかったに違いない、色々教えてくれました。若いおじいさんがこの辺に住んでいるか、別荘を持っているかで、おじいちゃんおばあちゃん宅で夏休みを過ごしているんだろうと思う。そこで、若いおじいさんに、この辺でマテ貝はとれる?と聞いてみた。そしたら、「うん、とれるよ。ほらあの船がいるあたり。」って教えてくれました。やったーマテ貝、いるんだ。

そんな寄り道をしているうちに、海はすっかり引いていて、さっきまで船が浮かんでいたところは全部陸地になっていた。まずはお昼ご飯にしようと、遠くの岩場を目指して歩く。行きがてら試しに、気になった穴に塩を入れてみたら、なんと貝が出て来た。ニョキッと出て来るのがすでにびっくりだし、ものすごい力で戻ろうとするので、思わず手を放してしまい、逃してしまった。けれど、初めて正しい穴を見つけて、塩を入れて貝をおびきだせたので、次回へ期待がふくらむ。その後も、私は手づかみが出来ないものだから、塩を入れる係り専門。あたりの穴で、海水がにじみ出て、まわりの砂が動きだして来ると、近くにいるギーちゃんを呼びつけて取り出してもらう、という手順になりました。

海のど真ん中でお弁当を食べたあと、沖に戻りながら穴探しをしていると、別のムッシューが寄って来て話しかけられた。今日はホント何にもとれやしない、と。またもやおじいさんで、小学校低学年の子供二人を連れて海に来て、面倒をみつつ自分も何かをとっていたらしい。マテ貝を探しているんだと言うと、マテ貝ならここの近くの別の海岸の方がずっとたくさんとれるよ、と教えてくれた。こうやってちょっとずつ地元の情報を入手できるのはなかなかいい感じ。

初めてのマテ貝掘り。収穫はたった6本。確かにこうしてみると、二つ折りタイプのナイフ、髭剃りカミソリなんかにそっくり。マテ貝は砂出しする必要はなく、すぐに食べられるとあったので、夕食までの間海水に浸けておき、その日のうちにエシャロットとワイン蒸しにして食べた。ひとり2本ずつ。ただ、刺身にする場合の記述を読んでいて、貝の黒いところは除いて食べたので、ちょっと味がぼんやりしていました。(つづく)

海でお弁当、何食べた?

昨日の記事で、土曜日以外毎日お弁当を持って海に行った、と書いたものの、日曜日のお弁当の内容が思い出せない。本当にお弁当を持って行ったっけ?とその記憶まであやしい。お弁当を広げている写真があったので、それを見ていてなんとか思い出せた。思い出せないほどすっかり忘れてしまう前に、記録しておくことにした。

日曜日は、最近お気に入りの場所、Pors Scaff(PortではなくPorsあるいはPorz、ブルトン語表記なのかも?)というところ。お弁当は、朝の残りのバゲット、塩もみしたきゅうりに醤油を垂らしたもの、アボンドンスというハード系のチーズを切ったもの、マルシェで買ったベーコンのかたまりのスライス。あるものをかき集めて持って行ったという感じ。この日はなかなかの収穫だった。

月曜日は、ちょっと別の場所。Port Le Goff。すぐ隣にわりと大きい砂浜があるからか、いつもと違って割と人もいる。この日は、かき集め弁当ではなくて、お弁当のためにわざわざナスとトマトのパスタを作った。でもそれを保存容器にどさっと入れただけ。アボンドンスチーズがアペリティフで、デザートはブルターニュの塩バターサブレ(市販のものです)。

火曜日は、Porz Hir。午前中チーズとハムを買って、それをバターをたっぷり塗ったバゲットに挟んでサンドイッチ弁当。デザートはマドレーヌ一個とサブレ。この日は全く写真を撮らなかったみたい。

水曜日は、Port Blanc。ここはよく通る場所で景色もすばらしい。でもここで何かがとれたためしがない。お弁当は、ちょっぴり残っていたパスタでオムレツ、あまり量がなかったので、いつものきゅうりとトマトを切っただけのものでなんとか容器を埋めた。お弁当を食べている場所は、向かいに見える島の左先端あたり。

そして木曜日、この日の干潮の時間は夕方4時。お昼はお弁当ではなく義母のところでご馳走になり、その後で海へ。ここ2日間、思うような収穫ではなかったので(別のものを探していたんだけど)、気を取り直すために、今のところ必ずある程度は見つかるスポットのあるPors Scaffへ。前回ほどの収穫ではなかったけれど、それでもなかなか取れたので満足。こうでなくちゃ。

今週から夏休みです

やっとやっと待ちに待った夏休み。まずはブルターニュに再び。水曜日の夕方すでに現地に到着し、木金と在宅ワークにしていたので、土曜日の朝から夏休みスタート。この週末から今週前半にかけて大潮(大潮の定義はよくわからないけれど)で、潮干狩りに行かない手はない。

このあたりは、世界で5番目くらいに、海の満ち引きの差が大きい海岸らしい。5番目っていうのも微妙だけれど、フランスじゃなくて、世界でだから結構なものなのでしょう。普段から干潮の時は海が遠くかなただけれど、大潮というか、満干の激しい時はまるで海がなくなってしまったかのよう。

土曜日は、干潮が12時半くらいだったので、お昼は戻って来てから食べたけれど、日曜日からは毎日お弁当を持って行き、海のまん真ん中で食べています。水曜日まで5日間その繰り返し。毎日4時間くらい海でウロウロしています。依然としてアサリを掘っていますが、だんだんとアサリがいるようなスポットがわかって来て、その場所も覚えられるようになって来て、なかなか上達を感じています。

それにしても、8月だというのに寒い。到着して数日は暖房を入れていたほど。フリースが欠かせないブルターニュです。

ブルターニュに来れば、欠かせない貝掘り

今回の滞在中の干潮時間がちょうど午後早い時間だったので、土日月と3日連続で貝掘りに行ってきました。土曜日はギーちゃんと二人で近場にて。日曜日、ブルターニュ地方の内陸部に移住した友人が遊びに来て、昼食の後、海岸沿いをハイキングするというので(フランス人はこうやって自然の中を歩くのが大好き。そのための歩道も整備されている。)、私は一人で貝掘りコース。月曜日3人分の昼食になりました。

昼食後、貝掘りに行く支度をしていると、近くに住むヴァンソンから、思ったより天気がいいから遊びに来てはどう?というお誘いがあって、それじゃあ、彼らの家のすぐ前の海岸で貝掘りをしようということになった。まず家にお邪魔して、なんてことをしていると、それだけで1時間くらいすぐに経ってしまう可能性大なので、直接海に行き、まずは目的の貝掘りをする。この海岸はうちのあたりよりも大きい「アサリ」がいっぱいいる貝掘りスポット。

1時間半くらいで、いつもの2倍くらい掘れたような気がする。これは私の掘った跡。目的のアサリは、小石や小岩があるところに多くいるのだけれど、こういうところで貝の穴を見分けるのはなかなか大変。這いつくばって地面を見つめる必要あり。白いバケツは、ギリシャヨーグルト1kgのもの。これがかさばらず便利でいいのです。

海があまりに広く、結局海ではお互いを見つけられなかったけれど、彼らの家で合流。お茶でも飲んで帰るつもりだったのに、そうは問屋がおろさず。最近庭に設えたペタンク場でペタンクをやり、男性陣はその後プールで泳ぎ(庭に温水プールがある。この日の気温は20度にも満たず。)、そうなるとご飯を食べて帰りなさい、ということになり、フランス風ボンゴレをご馳走になりました。夜ご飯のアサリは、彼らが掘ってきて冷凍してあったもの。フランス風と言ったのは、バターがたっぷりでパスタものびのびだったから。それでもなぜか美味しい。もともと硬水のせいで(たぶん)、パスタを少々茹ですぎてもグズグズになるということがない。そこにしっかりバターが行き渡っているので、水分がパスタの中に入っていかず、全くアルデンテではないけれど、それ以上の水ぶくれにもならないのだろうと思う(たぶん)。この日は昼も夜も海からとってきたアサリがメインの食事でした。

この日私たちが掘った貝は30個。ベルサイユに戻ってから食べました。ウイキョウの茎と葉っぱが大量にあったのでそれを入れてワイン蒸しにしたところ、なかなかいい香り。一部の貝はそのまま食べ、残りは殻から外してボンゴレに。エシャロットとニンニクを炒め、貝の蒸し汁を全部入れ少し煮詰めてからパスタをからめただけ。パスタを茹でる時の塩以外はなんの調味料も使わず。潮の香り、貝の旨味たっぷりで、いつも通り、とても美味しい。

ワクチン2回目@ブルターニュ

ワクチン2回目の接種に、わざわざブルターニュまで行ってきました。1回目接種をした場所で必ずしも2回目を受けなくちゃいけないというわけでもないのですが、14日のフランス革命記念日の祝日と合わせて2日ほど休暇を取り、在宅ワークと合わせて、長い週末ということにしました。

水曜日会社を早めに出て、夜ブルターニュの家に到着。翌日木曜日の午後、半休をとってワクチン2回目接種。フランスはもう年齢制限などなく、確か18歳以上なら誰でも接種できるし、予約も要らなかったりするので、年齢層が前よりずっと様々で、若い人も結構いました。1回目と同じ場所で、同じやり方。今回は接種までに10分くらい待ち時間があったかもしれないけれど、それは注射してくれるお医者さんがちょっぴり丁寧で問診が長かったから。

今回は、打たれた瞬間に力が抜けるような感じはなくて普通でした。前回同様15分ほど待機して、接種したという証明の用紙をもらって帰宅。すぐにはこれといった症状もなかったので、ささっと買い物をし、そのあと自転車で海まで行ってみたりもしました。夜になって二人ともまた腕が痛くなって、寝返りするのにイタタタ、、、となっていたけれど、それ以外は特になにもなし。翌日は普通に1日仕事だったのですが、ちょっぴりだるい、眠たい感じ。翌々日の土曜日は、みんなで近くのレストランで昼食、そのあと眠くて眠くて、どうにもならないくらい眠かったけれど、それがワクチンのせいなのか、一週間の疲れかは不明。腕が痛いのも、前回は一週間くらい続いたけれど、今回は日曜日くらいにはほぼ痛さは感じなくなっていました。2回目の方が具合が悪くなると聞いていたので、ちょっぴり心配していたけれど、それほどでもなくてよかったです。

先週、マクロン大統領のテレビ演説があって、コロナウィルス感染予防のための新たな措置が発表されました。私の周りでは(特に会社)、ほぼみんなワクチン接種をしているし、数ヶ月前に比べると、ワクチンが余っているくらいの状態だから、国民の接種率もかなりのものなのかと思っていたけれど、今現在、まだ半分にも達してないようで、今後は、強制ではないけれど、職種によっては、実質的に強制になる模様。それ以外の人たちも、ワクチン接種していないと、色々めんどうなことになりそう。例えば、来週から、50人以上の集まる施設への入場にはワクチン接種証明あるいは検査結果陰性証明が必要。今のところPCR検査は無料らしいけれど、処方箋がない場合は有料にするとも言っている。法案が通れば、8月からは、カフェ、レストラン、長距離移動の交通機関、病院、大型商業施設などでもこの証明が必要になるかもしれないとのこと。実際のところ、証明確認作業をどうするんだろう?っていう疑問は残るけれど、この、ある意味おどしとも言える発表で、その翌日、ワクチン接種予約が殺到したらしい。もしかすると、ワクチン接種を促すための狂言だったのかも?