お気に入りになりつつあるFINEでミニ版お菓子

このあいだから、何かと言えば、このFINEというお店でお菓子を買って来ます。

1人用パリブレスト。6人用のこれに比べると、粉砂糖がほとんどかかっていなくて、それが邪魔にならずよかった。ただ当たり前だけど小さい。甘さ控えめ。薄いタルト生地の上にのせられたリング状のシューの中にクリーム、真ん中にはノワゼットのプラリネ。そしてノワゼット入りのムース状のクリームが上にのっかる。重そうだけれど、それほどでもないので、半分ずつにして食べると、もうちょっと欲しいなぁと思うほど。でも、多分一人でひとつ食べると、ちょっと食べすぎたかな?と思うに違いない。飾りは、ノワゼットの皮。

もうひとつは、フランスの家庭菓子あるいはビストロの定番のデザート(だった)タルトタタン。見かけは全然違うけれど、タルトタタンの要素は全部取り入れられ、別解釈にしたもの。こういうのをフランス語で、Revisiterという。「別解釈」はReinterpretationだけれど、このRevisiterをよく聞く。定番の家庭料理、レストランメニューの主要素は保ちながら、組み立て、見かけ、盛り付けなどを変えて、まるで別料理に変身させてしまうことを言います。レストランのメニューにそのまま書いてあることもあれば、料理を説明してくれる時に使われたりもします。これなどは、まさにタルトタタンリヴィジテ(Revisite)。

これまたうすーく、でもこんがりとよく焼けた生地の上に、キャラメル色にまでりんごを煮たもの。りんごの形はほぼなくなっているけれど、ピュレでもなく、コンポートでもなく、柔らかいりんごの歯ごたえがかすかに残っている。真ん中にキャラメル味のクリームとムースの間くらいのものがのり、まわりの白いのはちょっとかための生クリーム。タルトタタンにはホイップクリームよりも、このかたいクリームがそのまま付け合わせられることが多いから、その代わりなのだろうと思う。全てにうっすらとジュレがかかっていて、繊細なパーツをカバーするのとツヤ出しの役割をしている。これでもかというくらい薄いのと、味はついてないので、食感や味覚を損なうことなし。こんなのはペロリと食べられてしまいます。それにしても、これを組み立てるの(これだけじゃないけど)、相当神経を使うだろうなぁと思う、でも楽しそう。

ノワゼット(ヘーゼルナッツ)の小さいお菓子

この冬はノワゼット(ヘーゼルナッツ)そのものをよく食べました。これまで、おつまみ用のナッツはアーモンドとカシューナッツの2種類が定番だったのですが、ノワゼットとクランベリーのコンビがとても美味しいということを発見して、それの方が定番になりつつあります。ノワゼットは殻から外してあるだけの生のものを量り売りで買って、自分でローストしています。

このあいだ、殻付きのノワゼットが1kg売っていたので買ってみました。これを生のまま食べても美味しいという人もいるけれど、私はローストしないと食べられない。割って出して、ローストして、皮をむいて、やっと食べられます。

真ん中が殻から出したところ。右は150度のオーブンで25分焼いたもの。

このあいだ、甘いものが食べたかったのと、ずっと前に買ったミニミニのカヌレ型(といってもシリコン)を使ってみたかったので、ノワゼットを使ったものすごく簡単なお菓子を焼いてみました。ノワゼット100g、市販の粉じゃなくて、自分でローストしたのをミキサーで粉状にしました。少しだけ別にとっておいて包丁で荒く砕いておきました。焼いた後にチョコレートを溶かしてかけたかったので、砂糖は70gくらい入れるところを40gほど。卵2個。溶かしバター35g。レモンの皮を擦ったものを入れたかったのに忘れていました。

作り方も簡単。全卵2個に砂糖を入れて泡立てる。スタンドミキサーがあればなんてことはないけれど、ハンドミキサーしかないので、10分ほど手が離せないのがちょっぴり難。ハンドミキサーを鍋に固定してみたけれど、振動でどうしてもちょっとずつ動いてずれていくのだけど、ちょっと大丈夫かな?と目を離した時に、ボウルごと倒れてしまいそうになったので、その後はしっかり手で持って泡だてました。2倍くらいのボリュームになったら、溶かしバターを入れてナッツを入れて混ぜたら終わり。170度のオーブンで10分くらいで焼き上がり。

荒く刻んだナッツを溶かしたチョコに混ぜて上からかける予定だったのですが。。。レシピにあった香りのないオイル大さじ一杯がなく、固い生クリームをティースプーン一杯入れてみたら最後、チョコが固まって、液体状でなくなってしまった。それで、しょうがない、チョコは底に塗りつけることにして、そこにナッツを押し付けた。

それでもまだチョコが残っていたので、丸めて(手で丸められるくらいの硬さになってしまっていた)上にのせ、半分にはさらにナッツを、もう半分にはその辺に残っていたクランベリーをのせました。あれば、生のフランボワーズなんかがいいかもしれない。

いつかレストランで、最後のコーヒーのお供に、スプーンの上にのって出てきたミニカヌレがとっても美味しくて、それを作りたくて買った型でした。写真のお皿の底部分は15cmほどなので、そこに4つ並ぶということは、ひとつ4cm幅ってところで、指でつまんで一口で食べるサイズです。

はちみつじゃないよ

Miel(ミエル)というのは、フランス語ではちみつのことです。

透明でサラサラなはちみつだけでなく、ぽってりした、透明でない種類のはちみつもたくさんあって、まるでそういうタイプのはちみつみたいですが、これは味噌です。KYOさんのところで教えてもらった「一晩発酵みそ」というものを作ってみました。

普段のパンはもとより、クロワッサンを作ってみたりするくせに、みそは作ったことがありませんでした。かなりハードルが高く、誰かに習わないことには出来ないだろうと勝手に思っていたのですが、KYOさんの記事を読んで、これなら出来るかも?と思ったのでした。なにより1年とか待たずにすぐに食べれるというのが魅力。

早速、フランスでオーガニックの麹やお味噌を手作り販売しているお店のサイトを見てみると、みそ作りキットが売り切れていなかった!実は以前にも買ってみようと思ったことがあるのですが、思いついた時には、いつも販売していない状態だったのです。味噌は寒い時に仕込むということで、それ以外の季節に買おうとしていたから、売ってなかったってことか、と今回腑に落ちました。

大豆1kgと米麹1kgとゲランドの塩300gのセット。しめて55.9ユーロ。こちらで日本製のちょっといい輸入のお味噌が15ユーロ弱くらいなので、それが3つは買える。毎日お味噌を消費しているわけではないので、買ったほうがずっと安いに違いないけれど、まあ自分で作ることに意義があるので、あまり気にしないことにした。

注文してしばらくして届いたのが2月中旬だったか。そこからそのまま戸棚に入れっぱなしになっていました。先週、このままだと忘れて夏になってしまったら困ると思い立ち、一晩みそ作りを決行しました。(あとで、よく見てみると麹は冷蔵だったのですが、常温で二週間も保存してしまった。)

土曜日の夜に大豆を水に浸し、翌日煮る。とりあえず半分量を煮ようかと思ったものの、作業は同じなんだから全部煮てしまえと、1kg全部水につけたら、相当な量で、鍋ひとつでは間に合わず、二つ目が必要でした。味噌作り1回分とちょっと食べる分の大豆をのぞいて、あとは全部ジップロックに詰めて冷凍。

翌日、自宅で仕事だったので、朝計量をしておいて、お昼すぎに作業をしました。作業は簡単。麹と塩をミキサーで撹拌してボウルに入れる。その後、温めた大豆をミキサーで潰す。少し待って温度が下がったら、麹と塩の中に入れ、煮汁をちょっとずつ入れて手で混ぜる。それを、容器に詰めて、60度で6時間から8時間保温する。量がよく分からないまま、色々なレシピを見て、とりあえず米麹200g、煮大豆(煮汁なし)230g、塩40g弱、大豆の煮汁少々、という感じで。

保温は炊飯器でやるレシピがあちこちにありましたが、炊飯器はないし、ヨーグルトメーカーみたいなもんもないので、オーブンでやることにしました。保温性をより高めるために、ストウブ鍋の中に入れようと思っていたのだけれど、予定していた硬くて分厚いプラスチック製の容器だと高さがありすぎて、鍋の蓋がしまらない。それでと探し出したのが、アルザスで買った小さめのテリーヌ型。もしかすると使うのは2回目かもしれない。これに麹と大豆の混ぜ物を詰め、蓋をせず、蒸し布をかぶせ、鍋の蓋をずらしてしめ、60度のオーブンへ。温度を確認するため度々オーブンを開けていたので、60度というより50度くらいだったと思う。3時くらいにオーブンに入れて夜8時くらいまでこの温度でオーブンをまわし、その後はスイッチを切ってそのまま一晩置きました。

翌日、あけてみたところ。色はほんのちょっとだけ濃くなっていて、ひび割れが出来ていて、やっぱり乾燥しているからカサカサになってしまったか?と思ったけれど、混ぜてみると味噌っぽい。

それで、ぎゅうぎゅう詰めたら、このはちみつの容器にちょうどぴったり入ったというわけでした。たぶん500gのはちみつ用の容器なんだろうと思う。

週末に大豆を煮てから、その大豆を煮汁と一緒にミキサーで混ぜて、ポタージュみたいなスープにしたりしていたのですが(これがすごく美味しい)、味噌ができたので、その日のお昼に、大豆の煮汁にお味噌を入れて、豆もそのままひとつかみ入れるというお味噌汁にしたら、もうとっーても美味しいスープになっていました。お味噌汁というより、甘酒みたいな香りのする白みそ仕立てのスープという感じ。ものすごく温まるし、いい感じ。出汁も何もないのに、こんなに美味しいものになるというのは、どういうことなんでしょう?

たぶん発酵はそれほど進んでいないと思われ、発酵独特の香りはあまりしない。私の天然酵母のパンの方が味噌らしい香りがするくらい。ただ米麹のすごくいい香りがする。と言っても、これまで麹の香りなんて気にとめたことはなかったし、甘酒だって好きじゃないんだけれど、麹の香りというのが、ここフランスあたりには存在していない、日本にしかない色々な香りが詰まっているからではないか?と思ったりしました。でも私が買った麹は、フランス産のお米で作った麹ですけどね。

誕生日に新しいお菓子屋のミルフィーユ

先週は私の誕生日だったので、割と最近できたお菓子屋で、ギーちゃんがケーキを買って来てくれました。夜遅かったので(といっても6時くらいではあるけれど、こちらでももう遅い。)残っていたものの中から。本当はサントノレが買いたかったらしいけれど、6人用であまりに大きかったので断念して、4人用のこのミルフィーユになりました。

見かけは相当素晴らしい。パイ生地はしっかり焼かれているし、上のクリームの状態も流れるような絞り具合も。クリームのつぶつぶはバニラではなく、たぶんトンカ豆風味、ここ最近流行りです。こういう組み立て方のミルフィーユも今やみんながやっています。

最近は、フランスでもかなり甘みを抑えたお菓子が主流で、それは大歓迎なんですが、今回のこのミルフィーユ、甘さが相当控えめで、あれ?味がない?と言うほど。これといったアクセントもないので、見かけほどの感動はなく、なんとなく物足りない感じで終わってしまいました。

翌日、プロが作ったものに手を加えるのもどうかとは思いつつ、せっかくこれだけちゃんと作ってあるのだから、美味しく食べた方がいいではないかと、レモンでアクセントをつけさせてもらうことにしました。食べる直前に思い立ったので、ささっとできるもの。やったことはないけれど、レモン汁にレモンの皮を擦ったもの、そこに砂糖を入れて煮たて、コーンスターチで濃度をつけてみた。これをつけながら2回目の試食。アールグレイ紅茶の風味で有名なベルガモットレモンで作ったので、香りもちょっといいし、何しろパンチがきいて、ずっと美味しくなりました。結局6つに切って、二人の3回分のデザートになりました。(2回でも全然問題なかったはずだけど。)あとで、このレモンソースがヨーグルトにもとっても合うというのを発見しました。

イングリッシュマフィンでクロックムッシュー

久しぶりに、と言っても5年ぶりくらいのような気がするけど、思い立って、イングリッシュマフィンを焼いてみることにしました。ちょうど生イーストがあったので、天然酵母とともにほんのちょっぴり加えました。イングリッシュマフィンと言っても、材料はいつものパンとほぼ同じ。本当は水の代わりに牛乳、油脂も少し加えるとかあるのだけど、すっかり忘れていました。トウモロコシの粉もなかったのでそば粉で代用。

フライパンで両面を各7分くらい焼き、その後オーブンに5分くらい入れました。冷めたらフォークを横から刺しながらぐるっとまわって二つに割ります。ナイフで切ると、表面がなめらかすぎて、マフィンらしさがなくなります。

このマフィンをトーストしてバターをたっぷり塗って、メープルシロップをかけて食べるのが好きなのですが、夕飯時だったので、そのかわりとしてクロックムッシューを思いついてしまい、そんなもの家で作ったりしないのに、どうしても食べたくなって、ホワイトソースまで作ってクロックムシューにしました。

チーズはグリュイエールで、かたまりを削っています。目玉焼きをつけてマダムにしたかったのですが(クロックムッシューに目玉焼きをのせたものをクロックマダムという)、十分なスペースがなさそうだったので、半熟卵を別添えにしました。もうちょっと焼いてもよかったけれど、ハムが薄く、焦げ焦げになるのが心配で、早めに引き上げました。

いやー美味しかった。ハムとかチーズが単独で主張することなく、ホワイトソースがみんなをまとめてくれてまろやかなんですね。ホワイトソースがあればすぐ出来るので、また作らねばと思っています。

ところで、マフィンとえいば、本当はエッグベネディクト。ホワイトソースではなく、オランデーズソース。ワイキキのハレクラニのサーモンのエッグベネディクトを思い出しました。あれ以上に美味しいエッグベネディクトにお目にかかったことはありません。でも自分で作れば出来るかも?

クリスマス用ガトーマロンは大失敗

2021年のクリスマス用のガトーマロンは義兄が担当することになっていました。すでに何度か作って成功していたのに、24日のイブと25日のクリスマスの日の2回のデザート用に2本も作っていたのに、大失敗で食べられたモンじゃありませんでした。

このお菓子は、材料は3種類、バターとチョコレートと栗のみ。焼く工程がないので、とっても簡単なんですが、普通のバターを入れるところを、おばあちゃんはマーガリンを入れてた!と今回はマーガリンを使ったらしく、それも製菓用のマーガリンではなく、トーストに簡単に塗れるっていうケースに入っている、色んなモンが入っているものを使ったというのです。ああいうマーガリンって溶かして使うようには出来てないと思うのですよね。一応味見しましたが、こんなに美味しくないもの、どうやったら出来るの?というくらい美味しくなくて、ほぼまるまる2本、ゴミ箱行きでした。私が作った補足デザートがあったので、デザートなしは避けることができました。そういえば、イブの補足デザートは簡単にティラミスを作ったのでした。これはもう何度も作っているので、安定の美味しさ。

それで、ちょうど材料も揃っていたので、新年のデザートはガトーマロンを作ることにしました。レシピの半分量です。栗250g(この瓶詰めの容量は210gだったので、それだけで。)をちょっと蒸してから潰す。チョコレート125gを湯煎で溶かし、バター50gを入れて、全部が溶けたら栗を入れてよく混ぜて冷やして出来上がり。

今回ブリオッシュ用の型を使ってみました。簡単に型から抜けるようにラップをしいてから生地を入れたので、ところどころ空気穴があいています。上面のまだら部分を隠すために、最後にチョコレートをひとかけ溶かして、その上からもうひとかけをすりおろしました。結構いい感じになったので、側面もやればよかった。

これは、本当に美味しかった。これはもうチョコレートの品質のおかげだと思います。今回はヴァローナのチョコ、本来はブラックチョコレートを使うところ、70%のブラックと40%のミルクチョコを半々にしてみました。白く見えるのは栗です。裏ごしなどはしてないので、つぶつぶが残っていますが、それくらい栗感が残っている方がいいです。こういう栗、フランスでは普通に買えるし、値段もそんなに高くはありません。甘みはついてないので、そのまま食べてもあんまり美味しくないです。煮込みなどに入れると、味を吸収してふっくらし、甘みも感じます。

クリスマスのデザート プラリネとレモンクリームのロールケーキ

クリスマスは、事前に家族内で役割分担することになっていて、私(たち)はここ数年、フォアグラとワイン、時々デザートも担当しています。

この家で、クリスマスのデザートに欠かせないのは、ギーちゃんのおばあちゃんがいつも作っていたガトーマロン、栗のチョコレートケーキで、みんな大好き。家族内で受け継がれ、ことあるごとに登場するお菓子です。私も2回くらい作ったことがありますが、たいていは義母のジャクリーンの担当です。が、去年の秋、義兄が、このお菓子作りをマスターしなくてはとやる気になって、自分の誕生日や週末などに何度か作っていました。なかなかうまく出来たので(とっても簡単なお菓子なんです)、当然クリスマスも自分が作るとのことでした。ただ、結構どっしりしているこのお菓子、たくさんは食べられないので、私がもう一種類別なものを作ることにしました。
栗、チョコレート、バターだけで作る、みかけと食感もなんだか羊羹のようなガトーマロンと合わせるので、軽めの酸っぱ系で、ややこしくないお菓子という路線で、色々検討した結果、柑橘類(ほぼレモン)のクリームと自家製プラリネ(ヘーゼルナッツをキャラメルと混ぜてペースト状にしたもの)のロールケーキを作ることにしました。

試作1回目。スポンジはスタンダードなもの。アーモンドの粉でなく、ヘーゼルナッツのものを使っています。これはスポンジに酸っぱいレモンクリームを塗って巻き、巻いた後全体にプラリネ入りの生クリームをコーティングし、さらにヘーゼルナッツのプラランをちりばめました。会社からちょっと早く帰った日に、夕食を作りながらこれを最初から最後まで作り(プラリネだけは事前に作ってあった)、夕食後に試食したので、クリームがまだとろけ状態でした。思い立って作ったため、たまごが3個しかなく、これだけでスポンジとクリーム作りをまかなわなければいけなかったので、サイズはミニミニです。プラリネ入りクリームとはいえ、プラリネの味がほとんどせず、ちょっと卵の味がしてしまうレモンクリームが主張しすぎていました。

試作2回目。これは本番のと同じものを半分量で。スポンジは、biscuit japonaisビスキュイジャポネという名がついていて、日本風の生地ってなんだろう?カステラ生地かな?と思ったけど、シュー生地に白身を泡立てたものを混ぜた生地でした。なんで日本風なのか不明です。普通のロールケーキ生地に比べるとちょっと手間がかかりますが、ふわふわだけど、しっかりしていて、しっとりした生地で、食べごたえもあって美味しかったです。これに、自家製プラリネを塗り、レモン、ライム、グレープフルーツの果汁をいっぱい入れて作ったレモンタルトなどに使うようなカスタードクリーム状のものを重ねて巻きます(試作1回目とは少し違うレシピ)。巻き終わったら、表面にうっすらクリームを塗って、プララン(プラリネになる前、まだ粒状のもの)を全体にコーティングして完成です。

こちらは巻いた後1日冷蔵庫に入っていたので、形がいびつなままきっちり固まっていました。プラリネが少なすぎて表面全体に塗れなかったので、茶色が途切れています。右上の写真、左がプラランで、右がプラリネ。これは多分ヘーゼルナッツとアーモンド、6:4くらいのものです。右下はローストしたナッツにキャラメルを混ぜて休ませているところ。

クリスマス当日には、試作の2倍量で作ったので、全く同じ工程にも関わらず、シュー生地の量が多くて混ぜるのに力がいるなど、ちょっと難ありの部分がありました。それに、24日のクリスマスイブの食事を終えて家に戻ったのが11時半ごろで、そこから組み立て作業をしたので(でないと、翌日のお昼のクリスマスのデザートまでにしっかり固まらない)、ちょっと大雑把なことになりました。この時はさらにプラリネが塗りづらく、絞り出しに変えたので、切り口のプラリネは点線になっていました。やっぱりお菓子は落ち着いて丁寧にやらないとダメだわ。でもまあまあ好評だったと思います。まわりのナッツですが、プラランだけだと甘いので、プラランとローストして細かくしただけのヘーゼルナッツの半々にしました。

で、ガトーマロンはどうなったのか?という話はまた次回。

和の要素のほとんどない年末とお正月

ずいぶん日本に帰国していないし、当然のことながら日本からも誰も来ないので、日本直輸入の和食素材はほとんどないに等しい状態が続いています。普段でも気軽に行かないパリに、こんなご時世に買い物に行く気にもならず、今年の年末はネットで日本のお米、昆布、黒豆、お蕎麦など最低限のものだけを買っておきました。

今年の年越しそばは、フォアグラをソテーしたものを合わせたらどうだろう?と意気込んでいたのですが、買い物に行って、帆立貝やカニやら、予定してなかったものを追加してしまったのと、お蕎麦に天ぷらはどうしてもはずせないという方がいて、フォアグラは断念しました。しかし、この組み合わせ、是非やってみたいので、普通の時に試してみたいと思います。

それで、大晦日のメニューは、帆立貝のソテー、レモン醤油味でさっぱりと。ブルターニュやノルマンディ産の帆立貝は今が旬なので、新鮮、安定の味。それに加えて、すでに茹でて半分に真ん中からぐさっと切ってあるイチョウガニ(トゥルトーという安いカニ)を自家製マヨネーズで。今のところ、ものすごく美味しいカニに当たったことはなく、これも例外ではなかった。なのでマヨネーズでもないと食べられないのだけど、そうすると、ちょっとカニ味のするマヨネーズを食べている感じになってしまう。メインは、天ぷらざる蕎麦。天ぷらは、えび、かぼちゃ、しいたけ。自分で適当に作った蕎麦だしで。冷凍したパックの出汁が残っていたのでそれで出汁をとり、お酒もみりんもないので、下記のマディラ化した白ワインにほんの少し砂糖を入れた。そういえば、大根なま酢もどきも作ってあった。

飲み物は、まずはシャンパン。ワインはもちろんブルゴーニュ白。先日、そろそろ飲まなければと出して来たピュリニーモンラッシェが古くなりすぎて(10年くらい)マディラ化、つまり劣化して、味が抜けているというか、違うものになってしまって、飲めたものじゃなかった。今回同じものをまた出してみたところ、ちょっとマシで飲めなくはなかったけれど、やっぱり本来の味ではなく、今ひとつでした。

大晦日はこれらの準備と並行して、お正月に食べる用のホロホロ鶏の煮込みを作りました。根セロリ、きのこ数種、栗、りんご、そして白ワインはマディラ化していたピュリニーをドボドボと。お肉を焼き付けていったん取り出し、野菜を炒めてから肉を戻し、ワインを入れて沸騰したら、そのまま低音のオーブンに入れて1時間半。翌日までオーブンに入れたまま、という簡単なレシピです。食べる前に、お肉をまた取り出して別に温め、野菜の方は鍋の中で温め直し。鍋の中の野菜と汁の一部をとってミキサーでピュレ状にし、塩やスパイス、クリーム、酢などあるものを足して、味を濃いめにつけたら、それがソースになります。写真ではまだソースがかかってません。

お正月は、食べ過ぎ防止のためおつまみや前菜はなし。メインの煮込みとチーズ盛り合わせ。せめてものお正月らしい食材は黒豆のはずだったのだけれど、レシピの8時間という煮込み時間を超えても柔らかくなってなくて、元旦もまだ煮込み中で間に合わず。

ワインは、赤はオクセーデュレス、白はサンロマン、いずれもババールさんとこのもの。チーズは、左からヤギのチーズ、モンドールにブリヤサヴァラントリュフ入り。

夏休み後半アヴェロンAveyron(9)Maison Bras メゾン・ブラ

(もう夏休みもなにも、クリスマスがやってくるというのに。。。)

気になっていたレストランのひとつ。今回の宿泊先を決めて、周りに何があるのかチェックしている時に、このレストランが結構近くだということがわかった。(バカンス先は、たいてい宿泊先ありきで決めるので、周りに何があるかというのは二の次のことが多い。)ちょうど、長かった2回目の外出制限が解除され、飲食店も再開しはじめた頃で、レストランもずいぶんご無沙汰だったので、ちょっと奮発してもいいか、という気分で予約をしてみることにした。ずいぶん先のことだったので、問題なく予約できた。予約には100ユーロの前金が必要。きっと、予約しておいて来ない、なんて人がいるんだろうと思った。

調べてみると、予約日のほぼ3ヶ月前、6月に予約をしていました。有名なレストランだし、シェフでこのレストランを三つ星までにしたお父さんも、それを引き継いだ息子も結構テレビなどで見る機会があるので、相当期待していました。(息子の代になって、ミシュランの星を返上したのだけれど、またいつのまにか星がついていたらしい、ただし一つ減って二つ星。)

滞在していたところから約30km山を登って行ったところにある、ナイフ製造で有名なライヨルの町からさらに山や丘を超えてたどり着いた。丘のてっぺんにあるので、この地方の山々がすっかり見渡せて、景色は素晴らしい。天気が良かったら、もっと素晴らしかったのだろうけど、あいにくこの日は曇りでした。

到着すると、まずは食前酒とおつまみを頂きながら、メニューを決める。メニューは、3種類のみ。言うなれば、スタンダードコース、野菜のみのコース、そしておすすめコースというところか。このレストランのシグナチャーメニューのガルグイユーが絶対に食べたくて、それがあるのは、野菜のみか、おすすめコースのどちらかなので、迷わずおすすめコースを選択。普段は甘い食前酒はとらないのだけれど、香草を使った自家製のお酒があったので(といっても、家庭で作る梅酒とかっていう感じのもの)、それにする。私はニワトコの花のお酒。もちろんおつまみがやってきます。シェフの子供の頃の思い出をもとに、シンプルな卵料理をアレンジしたものとセップ茸のタルト。

コースターかと思って、自ら敷いた布は、手や口を拭うナフキンとして持って来られたものだということが後でわかってちょっぴり恥ずかしい。

写真左の左側のがセップ茸のタルト。小さいけれど食べ応えあり。とても美味しい。右の雑穀入り、ちょっぴりカレーっぽい味のクラッカーは、この卵には重すぎ。もう少し軽くてプレーンな味のものの方がよかったなーと思う。

これらを食べながら、目の前に広がる景色を見ながら、これから供されるお皿の数々を期待しながら、ワインを選択しなくちゃいけません。膨大なリストからどれか一本を、というのもかなり難しいはなし。ここのメニューのレベルに合いそうなものは予算かなりオーバーだし、予算的にお手頃なのは、釣り合わないんじゃなかという気がするし。それで、結局のところグラスでお勧めのものをその都度頂くというパターンにすることにしました。

アペリティフも堪能し、外も薄暗くなって来た頃、食堂の方に案内される。一面ガラス張りで、同じような景色が目の前に広がる。素晴らしい景色を舞台に見立てて、テーブルは2列に配列されている。私たちは後列組。夜で景色はほぼ見えなくなりつつあったので、どっちでもいいようなもんだけれど、それでもどうして私たちは後列なんだろう?と思った。3ヶ月も前に予約したのになーと。まあ、前列にしてください、というお願いはしなかったけど(そんなの知らないもの)。でも前列の人たちを見ていてわかったこと。ほぼ誰もバッグなんて持っていない。つまりみなさんここのホテルに宿泊もする人たちだったよう。確かに、私たちのすぐ後、車でやってきた若いカップルは同じく後列組みでした。

実はここまで書いてから、そのまま放置していました。このまま数年放置しそうなので、一旦ここでこの回は終わりにして、メニュー編は改めて書こうと思います。

夏休み後半 アヴェロン Aveyron (3) Cafe Bras カフェブラ

朝方は涼しくても、お昼近くになるとグンと気温が上がる。自転車で隣町の朝市に行って帰ると「あつーい」。この日は、有名レストランのセカンド店でのランチを予約していて、30kmほど離れた、このあたりで一番大きな町、ロデーズまで行く予定。でもその前にひと泳ぎ。家のテラスにプールがあると、そういうこともささっと出来るのがすごくいい。5分くらいぽちゃんとつかって涼んで、着替えて昼食へ。30kmなら30分ほどで行けると軽く考えていたけれど、ここらへんはパリ地方のように平地ではないのだった。すごくいい道が通っていたけれど、登り下りの道だから予想以上に時間がかかってしまった。

Cafe Brasというレストランで、丘に広がるロデーズの町の中心、丘のてっぺんにある現代美術館、スラージュ美術館とつながっている。(しかし美術館には行かずじまい。)

お昼のコースメニュー、37ユーロ。グラスワインと食後のコーヒーを追加しても、二人で100ユーロ以下。地方に行くと本当にコストパフォーマンスが良くてびっくりする。

前菜は、二人ともガスパチョを選択。ラビオリの下には、ヤギのフレッシュチーズにくるまったプチトマトが隠れていました。カレーにぴったりサイズの深皿で供され、もうそれだけでお腹いっぱい。パンはすごく美味しくて、どこから来ているのかしっかり聞きました。バターのようなものは、そばの実を潰してペースト状にしてスパイスなどで味付けたものとのこと。

私のメインはなかなか食べる機会のないタコのフライ。レモンで作った自家製マヨネーズとともに。お世辞にもステキな盛り付けとはいえないけれど、美味しくいただいた。別皿の付け合わせは、レーヌクロードというプラムとパンポル豆を煮たもの。パンポルというのは、私たちのブルターニュの家のすぐ近くの町の名前で、この豆の産地でもある。大豆と白インゲンの合いの子みたいなもので、今が旬。鞘から出してすぐに煮て食べる。そしてこれからが旬のこのプラム、まだそれほど熟れていなかったからか、煮てあるからか、梅のような香りがした。プラムと豆を一緒に煮るって新鮮。ギーちゃんの選択したメインは、オーブラック(この辺にほど近い地域の名称)産の牛の尻尾の煮込みの上に、カルパッチョ風に薄切りにした肉を乗せてある。

ギーちゃんはデザートの代わりに、この地方のチーズの盛り合わせ(写真なし)。私は季節のいちじくのデザート。アーモンドの代わりに特産のくるみを使ったダコワーズ生地にどっしりクリームといちじく。くるみ味なので生地も軽くはない。いちじくは残念ながら味がない。もしかすると、くるみの味に押されてしまっていただけかもしれない。私には、前菜、メインと食べた後には、ちょっぴり重たかった。食後のコーヒーには、手作りの小さくて美味しいビスケットが付いていて、その辺はさすが。お腹いっぱいになりました。